春漂流記

目指すは「無意識」の存在証明。

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02 2010

甘いドライブ(仮)

 助手席の居心地は、ドライバーとの相性に比例する。
 一見、当たり前のことのようだけど、この考察は案外いいところを突いているんじゃないだろうか。
 「タバコ、いい?」
 聞くまでもなく、K子の唇にはすでに細長いタバコが挟まれていた。
 「うん」
 これも、一応の礼儀のつもりなのだろうか。僕も、便宜上の返事をする。
 薄い金属板が折れるような音、砂を噛むような音。ポッと炎があがり、小さな深呼吸と共に煙がたなびいてくる。
 「窓?」
 「いいや、大丈夫」
 窓?って何だよ、と口の中で毒づきながら、首を左に向ける。ついでに限界まで引き下げたシートに足を組んで、僕は精一杯の反抗心を表してみた。
 K子の吸うタバコの匂いは嫌いじゃない。バニラとか、そういった甘くてかわいらしい匂い。煙にかわいらしいというのも、変な表現だけど。
 「今日さ、」
 「うん?」
 「晴れてよかったね」
 なかなかしおらしいことを言うもんだと、感心する。K子はぶっきらぼうだけど、それは彼女の素直さの一つの形なんだろう。
 「だね」
 自分でもそっけない返事だとは思う。でも、本当は口角が上がって仕方がないのを我慢しているだけだ。
 窓から差し込む光が、ダッシュボードの上のiPodに反射している。
 「何食べる?」そう言ったK子は、多分笑顔に違いない。
 車は大学通りを抜けて、遠くに都市高の橋梁が白く光っている。

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Posted by | 16:31 | Comment [0] | TrackBack [0] | 駄文

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